hikariの高校受験 Ⅱ
hikariの望んだ高校は県内でも上位の進学校。
人気も倍率も高く難関校(Ⅹ高とします)といわれるところでした。
「ぼくは勉強ができるからⅩ高に行く。」
そんなふうに当たり前のようにhikariの中では公式が出来上がっていたのでしょうか?
誰もが憧れるようなⅩ高目指してただひたすらに勉強していました。
その高校は確かに県内でも皆が羨望するきれいで優秀な高校です。
定員は1学年400人越え。
今通う中学校の規模に比べたら3倍以上です。
しかも同じくらいのレベルの生徒が集まってくるわけで。
今までのように「勉強ができる」自分とは全く違う価値観を持たなくてはならなくなるでしょう。
またもっと遠くへ離れていく…青信号のスクランブル交差点の真ん中で、行きかう猛スピードの人の中にぽつんと立つhikariの姿を想像してしまいました。
私立という選択もありました。
規模的には変わらずとも特進コースというより小さな集団の中で私立ならではの細かいサポートを期待するのです。
一番大切なhikariの思い。
やはり…ずっと憧れていたⅩ高への思いを断ち切ることはできませんでした。
ただ…その私立という選択。
Y高についてもhikariは納得していました。
しかし、Ⅹ校に挑戦することがhiakriにとって受験勉強の意味そのものだったようです。
母としてはいろんなことを口に出したかったですが、hikariの気持ちを思うと"挑戦”を応援するしかありませんでした。
くしくも…今日は県立高校の選抜試験日です。
1年前の今日、何百人の生徒に紛れ校舎に吸い込まれていくhikariの後姿を見送った後、私は100枚の10円玉を握りしめて受験校近くの氏神さんへ向かいました。